情報化社会ではお金にまつわる情報も多く行き交います。「貯蓄から投資へ」というスローガンが叫ばれて長いですが、さまざまな金融商品があることに気付きます。これから投資をやりたいけれど、何からやればいいの?という方に向けて私なりの考えを書きます。
投資=危ないもの、のようなイメージがあるかもしれませんが投資はギャンブルではありません。ギャンブル性の高い投資はありますが、それを選ばない限り投資がギャンブルになることはありません。
投資を考える上で必ず押さえておきたいのが「リスク」というお話です。
「リスク」の考えが分かることが投資への大きな第一歩
「リスク」と聞くと「危険性」と思う人が多いでしょう。しかし、経済でのリスクは「振れ幅」を意味します。リスクが大きいというのは、将来大きくお金が増えるかもしれないし大きく減るかもしれないを意味します。
この大きく増える⇔大きく減るの差を「振れ幅」と言っています。振り子で一方に大きく振れると、逆方向に同じ幅だけ振れる。投資を考える上で大切な原則になります。リスクとリターン(利益)を表にまとめると、このようになります。
リスクの大きさ | リターンの大きさ |
リスクが大きい | リターンが大きい |
リスクは中ほど | リターンは中ほど |
リスクは低い | リターンは低い |
リスクはない | リターンはない |
リスクとリターンの大きさは同じになります(原則的に)。そんなこと、当たり前だと思われるかもしれませんが、人間は感情や主観、バイアスによってこの原則を置き去りにすることがあります。だから元本保証(ノーリスク)で年利20%(ハイリターン)の金融商品は存在しません。20%という高利回りなのに、元本が減ることはないというのは原則から外れます。
また投資(お金を増やそうとする)はリスクを取らない限り成り立ちません。リスクを取るからお金が増える可能性が出てくるからです。
「リスク」の取り方は人によって違う?
そのリスクですが人によって取れる大きさが違います。例えば年齢です。若い人はリスクを取りやすく、高齢の方はあまりリスクをとれません。損失が出た場合に取り返す機会がそれぞれ異なるからです。ケース別に見ていきましょう。
大きくリスクを取れるケース
- 年齢が若い独身の人
- 子どもがいない家庭
- 公務員など収入が安定している人
- 長期間使うあてのないお金を持っている人 など
小さいリスクしか取れないケース
- 結婚して子どもがいる家庭
- フリーランスや自営業者など収入が不安定な人
- 近いうちにお金の使い道が決まっている人
- 年金収入で生活している人 など
年齢や家族構成、収入の安定度などを考えながらリスクの取り具合を決めていくことになります。
取り返しのつかない失敗はさける=大きなリスク回避
投資の中で大きなリスクを取り続けられる人は限られています。資金がほぼ無限にあるか損失が出ても誰かが補填してくれない限り無理です。
投資を続けるためには生活ができなくなること、起き上がれないほどの打撃を受けることは避けなくてはなりません。そこで行うのがリスク回避=「分ける」ということをします。この「分ける」というのがリスクを下げることになります。
「分ける」ことが予測できないことへの備えとなります。将来の株価、物価、ドル円の為替相場、ヒット商品など分からないことだらけです。投資は分からない未来に行うものですが大きな失敗は避けたいものです。
何を「分ける」のか?それは、売買するタイミングや金融商品、投資する企業や国、所有する通貨などです。例えば株式の買うタイミングを分ける場合、1月に100万円を投資するのではなく1月と7月にそれぞれ50万円ずつ買うことです。通貨を分けるというのは、円とドルなど複数の通貨を持つことを意味します。
ドルと円、どちらの通貨の価値が将来上がるか分かりませんが、2つを買うことでどちらが上がってもいいようにします。円だけを持っているとドルが上がった時に損をしてしまいます。そういったことを防ぐために複数持つのです。通貨の投資対象を「分ける」のです。
これからはじめる人におすすめは?
「ミドルリスク」程度の金融商品をおすすめします。リスクが中ぐらいのものは、一般的に投資信託と言われます。投資信託はファンドとも呼ばれます。
投資信託は投資から集めた資金を複数の企業や国債などに投資をする金融商品です。主に国内株式、外国株式、外国債券など投資する対象が決められているものが多いです。
投資信託は複数の企業(株式)や国債に対して投資をしています。複数のものに投資しているというのが「分ける」にあたります。将来、どの企業の業績が上がるのか分からないから複数に投資をするわけです。複数に投資することによて一部企業の業績が悪くなっても他の企業でカヴァーすることができます。複数への投資でリスクを下げているのです。
主に投資しているものによって投資信託の分類ができます。主な対象とリスクが下図です。
国内株式 | 成熟しているので大きな成長も下落もない。ややミドルリスク |
外国先進国株式 | アメリカなどはこれからも成長が見込める。ミドルリスク |
外国新興国株式 | これから発展していく国に投資する。ハイリスク |
国内債券 | 国債や社債に投資する。ローリスク |
外国債券 | 金利は日本より高いが為替リスクがある。ややミドルリスク |
この中でローリスクではなく、ミドルリスクのものをおすすめする理由は値動きがあるので投資や経済の勉強がしやすいからです。複数の株式が組み合わされている投資信託はゆるやかに値が上下します。この値動きは経済の影響を受けている場合が多いです。政府からの発表や外国での出来事、為替との関係などさまざまです。
また値動きするものに投資するからお金が増える機会も増えます。値動きと損益の話は別の記事にします。
一方、ローリスクの債券はほとんど値動きがありません。10,000円だったものが1カ月後に9,998円、3カ月後に10,003円のように動きが少ないことが多いです。値動きがないものは他の商品と組み合わせてリスクを下げることには向いていると思いますが、これをメインに投資するのはおすすめしません。投資の醍醐味を感じ取ることができず、投資への意欲が薄れてしまうと考えるからです。
これからはじめる人のための組み合わせ
はじめる人は投資信託のインデックスファンドという種類のものを選んでほしいと思います。簡単に言うとこのファンドは手数料が安いからです。インデックスファンドは機械的に運用されており、人の手間がほとんど入っていません。だから手数料が安いです。(対するアクティブファンドは人が投資する対象を決め、調整をします。そのため手数料が高いです。)
手数料が安いインデックスファンドを選んだあとは、主な投資対象を選びましょう。どこの、何に投資するのかということです。
おすすめは外国先進国株式です。今も成長しているアメリカ企業はこれからも発展する可能性が高いです。アメリカ企業が含まれている投資信託を選んでほしいと思います。
この1本だけではじめるのもいいと思いますが、リスクを下げたい人は国内債券や外国債券の投資信託を加えるといいと思います。
外国先進国株式 | これからも成長が見込める |
国内・外国債券 | 安定して運用することができる |
攻めの外国株式と守りの債券でバランスはいいです。投資する対象を「分ける」ことで大きな失敗をする可能性は低いと思います。
つぎに投資額ですが、月に2~3万円ではじめるといいと思います。家計への影響が少ない額ですし、これだけの額で投資の効果が実感できます。
外国株式だけで2万円なのか、外国株式と債券でそれぞれ1万円ずつなのかはリスクをどれだけ取れるかによります。
やってみて学ぶ、これ以外に知る方法はない
私が投資をはじめて10年ほどになりますが、もっと早くに投資をすればよかったと思うことがあります。投資にとって投資期間は運用益にとって大切ということもありますが、投資そのものの面白さに早く触れたかったです。
少しでも投資が気になるなら証券口座を作って投資をはじめてください。さまざまな世界が広がり、考え方が変わり、経済的に少しだけ豊かになれることでしょう。
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