外貨建て終身保険を買うべき人・買ってはいけない人

生命保険

生命保険のセールスを受けたことがある人は「ドル建てなら保険料が安くなりますよ」「外貨建てなら払込額より返戻額が大きくなる時期が早いですよ」という話を聞いたことがあるはずです。

しかし、新聞の経済面などでは「外貨建て終身保険の苦情件数過去最多」の記事が載ることもあります。今回は、外貨建て終身保険を保障と資産運用の面から見ていきたいと思います。これから生命保険を考えている人は必ず読んでほしいです!

終身保険は貯蓄性のある保険なので、保険料が高くなります。その中で安く保険料が済む外貨建ては優れているのでしょうか?

外貨建て終身保険とはどのような金融商品か?

紙面で苦情件数が過去最多とあるのは、それだけ難を持つ商品というわけではなく多くの契約数があるからです。少し昔の記事ですが、ネットですぐに読めるものがこれです。

外貨建て終身保険とは、ドルや豪ドルなどの外貨に交換し運用される保険です。保険料の一部を金利の高い米国国債や社債などで運用するため、保険料の払込額が円建てに比べて低い場合が多いです。

円→ドル、ドル→円などで為替に対する手数料が発生します。(保険料に含まれる)

多くの人が契約している=すぐれた生命保険とは限りません。多くの契約=保険会社の外務員(営業)が精力的にセールスしている、ということです。

なぜ外貨建て保険を熱心に売り続けるのか、それは保険料に占める手数料の割合が高いからです。手数料が高いということは保険会社への収入が増え、営業さんの手取りが増えます。

だから、人気があって営業が熱心=保険を契約する人にとってベストの商品とは言えないのです。

私も一時期、外貨建て終身保険を契約していました。保険料の払込を2年以上しないと返戻金は0円でした。それだけ手数料が高く、始めに手数料をいただきますよということです。

外貨建て終身保険、最大の魅力は金利の高さ!

外貨建ては円から外貨に交換された後、アメリカやオーストラリアなど他国の国債や社債に投資されます。アメリカの10年物ならば、年利2%ほどなので日本に比べれば非常に高いです。

だから保険料での運用で利益がある程度見込まれるので、その分保険料が安くなります。これが外貨建て終身保険の一番の魅力です!

円建てとドル建ての保険料の比較をしてみましょう。

日本生命 「みらいのカタチ 終身保険

 保険金 1,000万円 満30歳から満60歳まで払込

 保険料 男性 月額約30,000円

ジブラルタ生命 「米国ドル建て終身保険(無配当)

 保険金 100,000ドル 満30歳から満60歳まで払込

 保険料 男性 月額165.60ドル

1ドル=110円とすると、100,000ドルは1100万円で165.6ドルは18,216円となります。円建てとドル建ての保障は1,000万円とほとんど変わらないのに、月の保険料は12,000円ほどの差になります。単純にこの為替が続いたと仮定すると、30年で6,557,760円の差が円建てとドル建てで発生します!

この保険料の安さがとても大きなインパクトがあり、「外貨建ても悪くないな?」と思わせるところだと思います。

為替に大きく左右される生命保険!

払込する保険料はドル建てなど外貨建ての方が低く可能性が高いです。1ドル=200円などになれば円建ての方が安いですが、現実的ではありません。

しかし、なんといっても1ドルは何円になるのか?1豪ドルは何円になるのか?というのは常に気にしなくてはなりません。

保険料の払込をしている時も、保険金を受け取る時も、保険を解約して返戻金を受け取る時もです。払う時は円高(1ドル=90円など)がいいし、もらう時は円安(1ドル=130円など)がいいですね。

しかし、将来の為替は誰にも分からないし、為替を操ることもできません。その点、外貨建てをする人は支払いなどで気をもむことが多いでしょう。

契約していた私の場合、一番の円高で1ドル=78円ほど円安で1ドル=123円ほどだったと思います。年払いの保険料は2,700ドルだったので、210,600円と332,100円と10万円以上の振れ幅がありました。

外貨建て生命保険を買うべき人

こんな人は外貨建てを買うべきだ!という人はいません。しかし、おすすめできる人は

  • リスクをとって積極的に返戻額を大きくしたい人
  • 他に保障がある(定期保険を持っている、十分な貯蓄がある)
  • とにかく保険料が安い終身保険に入りたい
  • 円以外の通貨を持って資産運用で使いたい など

外貨をあつかう限り為替リスクが発生します。リスクがあるというのは、減ることもあれば増えることがあるということです。リスクをとってでもお金を増やしていきたい人で保障も欲しい人は検討してもいいでしょう。

  • 円高、円安のことを良く分かっていない人
  • 為替のことを気にしながら生きたくない人
  • 円ベースでの元本保証を求める人
  • 収入が不安定な人

為替やリスクなど基本的なお金の知識がない人は絶対にやらない方がいいでしょう。円高、円安のことを分かっていない人が解約時期を決めることも困ります。他の人に頼ってもいいですが、営業さんの言いなりは怖いです。

資産は効率的に働く?

払い込んだ保険料は利率の高い国債などに投資されるので、効率的に運用が行われているのでしょうか?

そうではないと思います。まず保険商品は多くの人の手間がかかっています。会社の経費や給料、広告費などですが、外貨建てになると為替手数料も加わります。いくら保険料の一部を米国債などに投資するといっても効率が悪いです。

それなら、はじめから米国国債・米国社債を買った方が効率がいいです。ネットを通じて証券会社から国債を買うので他の人の手間もそれほどかかっていません。

また利率の良い外貨建ての終身保険と言っても、払込期間が20年~30年ほど経たないと元本割れします。

最後に

今回は、外貨建ての終身保険を見ていきました。安い保険料は魅力ですが、為替が円高にふれると保障も小さくなり返戻金も小さくなるので注意です。

もし迷っているなら契約しない方がいいでしょう。決して誰にでもおすすめできる金融商品ではないからです。リスクを取ってでも資産の拡張と保障を求めるんだという人にはいいでしょうが。

今回も保険の話でした。つぎもありますよ!

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