【税制改正】贈与税と相続税の何が変わる?主なポイントと非課税枠を確認!

資産運用

2023年度税制改正で大きなものは「贈与税と相続税」です。これらはペアで語られることが多いですが、とくに贈与税の変更が大きいです。2024年1月1日から適用される新しい税制を見ておきましょう。

今回のポイントは「生前贈与を促す改正」です。年間の非課税枠が充実し、相続税の対象となる期間が長くなります

贈与税は2つの制度から選び納税する!

贈与税は親や祖父母から子どもなどに資産を移転した時、第三者間で資産を移した時などにかかる税です。資産を送る者(贈与者)と送られる者(受贈者)で同意がある場合に成り立ちます。

国税庁から「贈与税の計算と税率」

贈与税は累進課税制度が使われるので、資産の大きさによって最大55%が課税されます。資産が3110万円を超えると、55%課税です。

贈与を受ける場合は「暦年課税」か「相続時精算課税」のどちらかを選択します。一度選択すると変更はできないので、大まかに制度の特色を知っておく必要があります。(贈与者によって制度を選べます。父から暦年課税、母からは相続時精算課税など)

2つの制度
  • 暦年課税
    毎年110万円まで非課税で贈与ができます。非課税枠を超える分には、額に応じて税率が適用されます。非課税の場合は申告不要。
    相続が発生した場合は、3年前から贈与された資産は相続税の対象になります。
  • 相続時精算課税
    60歳以上の者が、子どもなど直系尊属に贈与する場合に選択できます。総額2500万円まで非課税です。それを超えた分は一律20%課税されます。申告は非課税でも必要。
    相続が発生した場合は、非課税で贈与された資産は相続税の課税対象になってしまいます。

2024年からの税制改正ポイント!

  1. 暦年課税の相続税対象期間が3年から7年へ
    年間110万円までは非課税で贈与が受けられます。しかし、相続が発生するとさかのぼって(持ち戻し)、贈与された資産は相続税の対象になります。
    この期間が3年から7年に延長されます。相続税の対象が広がったわけです。なお、7年間の贈与分すべてが課税対象ではありません。
    1年~3年前の資産=すべて課税対象、4年前~7年=資産-100万円が課税対象
    完全に7年前から課税対象になるのは、2031年から。
  2. 相続時精算課税でも110万円の非課税枠が誕生
    年間110万円の贈与は申告不要で、非課税になります。110万円を超えた部分は合計2500万円まで贈与税は非課税、超えた部分は一律20%課税になります。
    相続税の対象は年間110万円(基礎控除)の部分は非課税です。110万円を超えた部分の資産は、相続税の対象となります。
  3. 贈与の特例制度が延長される
    子どもなどへの教育資金贈与は2023年度から3年間延長されます。また同様に結婚・子育て資金贈与も2年間延長されます。

相続時精算課税は非課税枠が拡大!使いやすい!

実は「相続時非課税制度」は人気がなく、暦年課税に比べ利用者は少ないです。贈与税に関してメリットが多いですが、相続税の課税対象は贈与資産すべてが入るからです。

今回の改定では、相続時精算課税の基礎控除(年間110万円)が新設されたのは大きなトピックです。暦年課税と同様に非課税枠は110万円ですが、同じではありません。

暦年課税は、相続の発生からさかのぼって7年間分の贈与は非課税だった資産も含めて課税対象となります。しかし、相続時精算課税を選んだ場合は110万円に収まっている分は相続税の対象ではありません。

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これからは相続時精算課税を選び、生前から贈与をする人が増えると思われます。政府の目的は、高齢世帯から現役世帯への資産移転です。

払うなら贈与税?相続税?どちらがいいか

贈与税と相続税はともに資産の移転に生じる税制です。一般税率(累進課税)で最高55%課税になります。では、どちらで払う方がいいのでしょうか?

贈与税の計算は比較的簡単
受贈者(誰が受けるか)、贈与者(誰があげるか)により税率や控除額が異なりますが、計算式に当てはめるだけで計算ができます。

相続税の計算は複雑で知識が必須
相続税は対象となる資産から計上する必要があります。生命保険(みなし相続財産)や相続財産、非課税財産など項目も多いです。
課税財産から控除される項目も多く、法定相続人の人数や生命保険の控除などにより控除される額の異なります。

相続税では基礎控除の種類が多く、課税資産を小さくすることが多いです。法定相続人が多いや不動産、生命保険などを持っている人は相続で納税した方が税額が小さくなると思われます。

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