テレビを見ていても保険会社のCMを見ない日はありません。生命保険や医療保険ほど会社の数が多く、種類も多岐にわたります。
今回はそもそも「保険」とは何かを考え、生活に生命保険や医療保険は必要なのかを書いていきたいと思います。日本では生命保険の契約をして一人前と呼ばれることもありますが、それは正解でしょうか?
万が一の事態が起こって生活が困難になる=生命保険の加入を検討
万が一の事態が起こっても生活が困難にならない=保険は不要
生命保険などの「保険」を見ていく視点として、上のことは重要なことです。「保険」とはそもそも万が一何かが起こって生活が成り立たない場合に備えるものです。「保険」は「備え」であることを確認しておきましょう。
生命保険の果たす役割とは?
生命保険とは、死亡保険と言われるもので保険をかけられている人が死亡した時に保険金が支払われます。例えば、家計を唯一支えている夫に生命保険をかけ死亡した時に3000万円が受け取れるというものです。
今回の場合は、家計の収入をになっているのが夫であるから万が一死亡した時は残された家族の生活が苦しくなると予想されます。だから生命保険は必ず必要で、3000万円の保障がある保険金のものを購入しようと考えますが、それでいいのでしょうか?
ここで「遺族年金」(遺族基礎年金)のことも触れながら考えてほしいと思います。遺族年金は国民年金に加入している人が死亡した場合、条件が合うと支給されるものです。
死亡した人に扶養されていた(生計を維持)子
死亡した人に扶養されていた(生計を維持)配偶者と子
子どもを持っている家計の場合は、遺族年金が支給されると覚えるといいですね。それでは年金の支給額ですが、子の人数や配偶者の有無によりますが年額約80万円~です。その額を子が18才になるまで受け取ることができます。
子どもの人数やこの遺族年金のことを計算に入れることで保険金の額を設定できます。額が大きすぎても家計の自由に使えるお金が少なくなってしまいます。
生命保険は家計を支えている人にかける場合は有効ですね!
生命保険の終身保険で、保障と貯蓄ができる?
生命保険の一種に「終身保険」というものがあります。これは貯蓄型保険とも言います。もちろん死亡した時に保険金が支払われます。特色は解約した時に返戻金があることです。長期間保険料の支払いをした場合、総支払保険料より返戻金の方が大きい場合があることから「銀行に預けるなら生命保険の方がいい」と言われることもあります。
終身保険は万が一にも備えられ、貯蓄にもなるので万能な保険でしょうか?答えはそうではありません。
終身保険は保障と返戻金があるが、保険料がかなり高額になる
終身保険の中身を見てみると、死亡保険と資産運用に回されるもの、この2つを合わせ持っています。当然2つの機能を持たせているのですから保険料は高額になってきます。
保険を資産運用の目的で生命保険に加入するのはおすすめしません。途中解約による元本割れリスクの高さと資金を効率的に運用ができないからです。
終身保険は20~30年以上の支払いをしないと支払額>返戻金になります(元本割れ)
終身保険の途中解約率は年10%以上=元本割れしている人がほとんど
また20年~30年でやっとプラスになるのは、お金が効率的に働いていません。それぐらいの長期で資産運用をするならリスクもとれますし、お金を増やすチャンスを失ってしまいます。
終身保険の予定利率は過去最低に低い
予定利率とは、保険料ー(支払い保険金+諸経費)であまったお金をどれぐらいで運用するか
最後に終身保険であまった保険料をどのように増やしているのか触れておきましょう。保険会社は機関投資家としても活躍しています。まとまった保険料をさまざまなところに投資しています。主な投資先は国内外株式、債券(国内・国外)などです。
保険会社は性格上、債券への投資比率が高いと言われています。では日本国債の利率はどれぐらいか?10年物で年利0.1%ほどです。保険会社が資金を増やしづらいのが分かると思います。
バブル期に契約した予定利率が7%のような生命保険は「お宝保険」と呼ばれるほどですから、いかに利率が良い保険がないことか分かりますね。
終身保険は保障△、運用△でどっちつかずという印象です!
保障がほしい+将来への資金がほしい場合は?
終身保険で死亡に備えながら、将来のための資金を増やしていく時代は終わりました。しかし、子どもがいる家族を持っている人などは保障と将来への蓄えが必要ですよね。
生命保険(定期保険)+貯金・投資信託などでの資産運用
この方法が家計も効率的で、万一にも備えることができると思います。ちなみにこれは終身保険で保険会社が同じことをやっています。それを自分でやる、に変更しただけです。
定期保険は掛け捨て保険と呼ばれるシンプルで分かりやすい保険です。死亡すれば1000万円のように分かりやすい契約内容です。終身保険と保険金の額が同じでも、保険料は格安です。これを必要な期間・必要な保険金の分だけかける、それだけです。
生活費や保険の支払い後に残ったお金は貯金と資産運用でいいと思います。残り全額資産運用はリスクをとるため減ることもありますので、保障を求めている家計には向かないでしょう。いくらかの貯金(現金)は確保しつつ、残りをリスクをとって増やしていくというのがいいと思います。
保障は保障、資産運用は資産運用と使うお金をしっかりと区別しよう!
終身保険は保障と資産運用のごちゃまぜです。中身は分かりにくくなりますし、それだけ手間がかかっているので手数料がかかっています。ということは自分の取り分が少ないことを意味しますね。
使うお金はしっかりと区別し目的を持って!
まとめ:生命保険は必要か?
亡くなって生活を送ることが困難な場合は検討することもあるでしょう。家族構成や家計を誰が支えているかがポイントです。貯金がまだ少ない、結婚して間もない幼い子どもがいる家庭は生命保険は必要だと思います。
しかし、DINKS(共働き子どもなし)のように亡くなっても生活が困らない人は不要です。保険料の分を消費や資産運用に回した方が幸福度を上げられると思います。
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