【公的年金】国民年金は払い損?お得なのか?数字はウソをつかない

生命保険

「年金はもらえるか分かりません」と民間の保険会社から営業を受けたことがありませんか?国の年金制度への不安を利用して、保険の契約につなげたいのは分かりますが、実際に国民年金の損得を考えたことはあるでしょうか。

今回は、ストレートに国民年金は得をする・損をする制度なのか検証していきます。民間の個人年金との比較してみてください。

公的年金は2階建て

公的年金制度は、自営業や会社員、公務員などの職業により保険料や給付金が異なります。

1階国民年金

全国民が満20才になったら加入し、保険料を納めます。学生でも支払いますが猶予制度があります。それ以外にも猶予や免除制度がたくさんあります。

保険料は一律16,610円(令和3年度)です。10年以上納付することで、公的年金を受給できる権利があります。学生、専業主婦、無職など勤務の有無を問わず納付します。

2階厚生年金

会社員や公務員などのサラリーマンは国民年金に加え、厚生年金にも加入します。保険料は収入により比例して大きくなります。保険料は会社と折半しますが、負担として大きなものです。

保険料は、標準報酬月額×18.3%です。その半分を個人が負担します。月額の9.15%を納めることになります。またボーナス(賞与)も同様の利率で納めます。

国民年金はどれだけもらえるのか?

国民年金を満額もらえる場合

20歳~60歳の40年間(480カ月)、保険料を払った場合は国民年金(老齢基礎年金)を満額もらえます。

令和3年度の場合は、満額で年間78万9,000円です。この額は65歳で受取を始めた場合です。国民年金は受給する年を繰り上げ・繰り下げすることで、大きく受給額が異なります

年間78万9,000円を月あたりになおすと、6万5,750円です。もちろんこの金額で生活できる人は少ないでしょう。夫婦でも合わせて、13万円ほどなので、自営業者をやっている人は働く・貯蓄で備えるなどしているはずです。

生涯にどれだけの年金をもらえるのか?

今年65歳の方の平均余命を割り出し、それを基に計算します。

男性19.83年 女性24.63年です。

男性の場合、78万9,000円×19.83年=1,564万5,870円
女性の場合、78万9,000円×24.63年=1,943万3,070円

受け取り総額÷支払い総額は?

国民年金の保険料は毎年見直されますが、もっとも高いのは令和3年度のものです。1万6,610円ですべての期間を支払ったと仮定します。

480か月×1万6,610円=797万2,800円

平均余命まで生きた場合

 男性  1,564万5,870円÷797万2,800円=196.24%
 女性  1,943万3,070円÷797万2,800円=243.74%

保険料の総支払額は一番高い保険料で試算しましたが、実際はもっと保険料や安いため受け取っている利率はさらに上昇します。

年々、保険料は上昇していますが受取総額は圧倒的に支払額より多いです。これが日本の国民年金制度です。改悪を重ねても、支払総額より受取総額が少なくなるというのは可能性として低いと考えらえますね。

なぜこれほど、受取総額が大きくなるのか?それは年金としてもらう保険金の内訳にあります。

年金(保険金)の内訳
  • 現役世代からの保険料
  • 国庫からの税金
  • GPIFからの運用金の一部
グラフ:積立金から得られる財源・保険料・国庫負担の割合推移
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)より

国民年金は非常にお得な設計 払わない方が損

今回は国民年金のしくみと損得を見ていきました。高齢化が進む日本でも、老齢基礎年金はとても得をする設計だとお分かりいただけます。

民間の個人年金で、返戻率110%ほどで高利回りと言われます。国民年金は、200%~250%の返戻率です。どれだけ改悪が行われようが民間は足元に及びません。

もちろん、国民年金の6万5千円ほどでは生活はできないのでそれ以外に備えは必要です。しかし、老後の生活のサポートを中心となってくれることは間違いありません。

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