【全世界株】総経費率でインデックスファンドを比べてみる~信託報酬にだまされるな~

資産運用

2023年9月8日から三菱UFJ国際投信は、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬を0.1133%から0.05775%に引き下げます。0.1%台でも低コストと言われる中、その半分に引き下げます!

業界最低の0.05765%に=「eMAXIS Slim全世界株式」の実質信託報酬=三菱UFJ国際投信
三菱UFJ国際投信は、低コスト・インデックスファンド「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬率を、年率0.05775%(税込み)以内に引き下げると発表した。現在は同0.1133%(同)以内。9月8日から実施する。

しかし、ファンドの運用コストは信託報酬以外にもあるのを知ってますか?信託報酬でファンドを選ぶのは重要ですが、それ以外のコストも知っておこう。

関連記事:【投信の取説】野村アセットが超・低コストインデックスファンドを開始!「はじめてのNISA」

eMAXIS Slimがオルカンのコストを半分にする!

信託報酬以外に運用中はコストがかかっている

投資信託の運用にかかる信託報酬はリターンに大きく影響する、というのは広く知られています。しかし、信託報酬以外に運用費用は発生しています。

下の明細はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の交付運用報告書の最新版です。報告書を見るとファンドにかかったコストをすべて見ることができます。

(a)信託報酬以外にも、(b)売買委託手数料(c)有価証券取引税(d)その他費用があります。費用の「当期比率」の「合計」は0.166%となり、すべてのコストです。

信託報酬は0.113%ですが、総経費率(総コスト)は0.166%

2023年4月の交付運用報告書から引用

全世界株ファンドの比較を総経費率で見る

ファンド名総経費率内信託報酬純資産
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)0.166%0.113%13,706億円
SBI・V・全世界株式.・インデックス・ファンド0.16%0.063%278億円
楽天・全世界株式インデックス・ファンド0.23%0.132%3,359億円
たわらノーロード 全世界株式0.251%0.132%81億円
Smart-i Select 全世界株式インデックス0.19%0.092%38億円
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス
(全世界株式)
0.05775%14億円
はじめてのNISA・全世界株式インデックス
(オール・カントリー)
0.05775%4億円
純資産等は2023年8月22日時点

SBI・Vと楽天の全世界株式はFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動します。大型株から小型株まで含みます。

それ以外のファンドはMSCI・オールカントリ―・ワールド・インデックス(ACWI)です。

ファンドの純資産が大きければスケールメリットが効く

一般的に投資信託やETF(上場投資信託)は運用する規模が大きくなれば、運用にかかる費用は資産額に対して小さな割合になると言われています。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は純資産1兆3千億円を超えるため、コストの削減はしやすいです。

一方、Tracersオール・カントリーやはじめてのNISAは運用が始まったのが最近で資産規模が小さく、信託報酬以外のコストが膨らむことが予想されます。

総経費以外で何を比べるべきか?

「乖離率」どれだけ連動指数から離れているか

インデックスファンドは指数への連動を目指すため、指数をかけ離れていては心配です。たとえプラスに大きく振れていても…

投信では「騰落率」を見ることで乖離を確認することができます。ベンチマークは連動指数で、ファンドの数字が大きく離れてなければOKです!

2023年7月の月報から引用

「リターン」同じインデックスでも成果は違う

投資情報サイト「みんかぶ」の投資信託にはファンド比較ができます。4本のリターンを比べます。

三菱UFJのオルカンとたわら全世界株式、SBI・Vと楽天はそれぞれ同じベンチマーク(連動指数)です。

オルカンとたわら全世界株式は信託報酬も同じ0.1133%ですが、1年リターン3年リターンともに三菱UFJのオルカンが上回ってます

SBI・Vと楽天の全世界株式では、SBIが1年リターンで0.05%上回りました

連動指数が同じでもインデックスファンドのリターンは、必ず同じになるものではありません。リターンが異なるのは、構成銘柄の違いや資産構成の大きさ、ファンド内の経費などすべてのファンドで同じではないからです。

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