【株価指数】「JPXプライム150」とはどんな指数か?なぜトヨタや三菱UFJなどは不採用?

資産運用

2023年5月26日、新株価指数「JPXプライム150」の構成銘柄が発表されました。構成に日本でもっとも時価総額の大きいトヨタ自動車、メガバンク、ソフトバンクグループは入っていません。

どんな指数なのか?と気になります。今回は東証が新しくスタートさせる、新株価指数「JPXプライム150」の特色と主な構成銘柄を紹介していきます。

構成銘柄を知るだけで、優良銘柄を探せることにつながる?

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「JPXプライム150」とは何か?

東京証券取引所には3つの市場があり、「プライム」「スタンダード」「グロース」に分かれます。JPXプライム150はプライムに上場している銘柄の中から、基準を満たしているもの150を集めたものです。

「資本収益性」「PBR(株価純資産倍率」が採用の基準

①「資本収益性」は、どれだけ効率的に収益をあげているかです。計算には、
ROE(株主資本利益率)ー株主資本コスト(投資者の期待リターン)
で求められます。

②「PBR(株価純資産倍率)」は、株価と1株あたりの純資産を比べるものです。
株価÷1株当たりの純資産
で求められます。割安・割高を判断するために使われることが多いです。

①と②両方の基準があり、PBR1倍未満の銘柄は採用されません。収益を生み出している、将来への期待が強い銘柄で構成されているのが「JPXプライム150」です。

トヨタ自動車のPBRは1.12倍であり、輸送用機械の業種は割安評価のものが多いです。三菱UFJフィナンシャルグループなど銀行業銘柄は、PBR0.6倍~なのでとても割安評価です。

主な採用銘柄

建築業ー住友林業、大和ハウス、積水ハウス

サービス業ーカカクコム、エムスリー、電通グループ、オリエンタルランド

食品ーアサヒグループ、キリンHD、JT

医薬品ー武田薬品、アステラス製薬、塩野義製薬

化学ー信越化学、日本発酵HD、富士フイルムHD、資生堂

機械ー小松製作所、クボタ、ダイキン工業

電気機器ー日立製作所、三菱電機、ソニーグループ、キーエンス、レーザーテック

輸送用機器ー三菱自動車、スズキ、ヤマハ発動機

精密機器ー島津製作所、オリンパス、HOYA、キヤノン

卸売業ー伊藤忠、丸紅、三井物産

小売業ーイオン、ニトリHD、ファーストリテイリング

陸運業ー東急、東日本旅客鉄道、日本郵船

空運業ー日本航空、ANAホールディングス

情報・通信業ーNTT、KDDI、ソフトバンク、NTTデータ

【全150銘柄】はJPXに掲載されています。

主な国内株価指数と「JPXプライム150」の比較

業種は電気機械の割合が高め

指数における業種別のウエイトは以下の通りです。電気機器、情報通信業、医薬品が特に高くなっています。

業種ウエイト業種ウエイト
電気機器27%サービス業6%
情報・通信業10%機械6%
医薬品9%化学6%

TOPIXとウエイトを比べると、銀行業は0%で輸送用機器は少なくなり、電気機器は10%ほど多くなっています。時価総額が大きい銘柄は150に入るとは限りません。

組み入れ上位10銘柄

ソニーグループの割合5.6%を筆頭に、キーエンス4.2%NTT3.3%が続きます。日本の先端技術産業に大きなウエイトを置いている印象です。

銘柄名業種ウエイト
ソニーグループ電気機器5.6%
キーエンス電気機器4.2%
NTT情報・通信業3.3%
第一三共医薬品2.6%
武田薬品工業医薬品2.5%
日立製作所電気機器2.4%
任天堂その他製品2.3%
東京エレクトロン電気機器2.2%
KDDI情報・通信業2.1%
HOYA精密機器2.1%

TOPIX、TOPIX500との比較

JPXのリリースにTOPIXの比較資料が掲載されています。印象としてはTOPIXとTOPIX500は似ていますが、JPXプライム150は電気機器と情報・通信業に重きを置いています

プライム150でTOPIXの約50%カバーすることになります。収益と将来価値を出している銘柄が集まっています。

新指数「JPXプライム150」の使いかた

これから登場するインデックスファンドを買う

「資本収益性」「PBR」の高いものを集めたJ、PXプライム150に連動するファンドが登場します。東証市場全体を表すTOPIXより、高いパフォーマンスが期待されています。

インデックスファンドで気になるのはコスト面(信託報酬等)。これから運用が始まっても資産規模は小さいので、コストは大きくなるでしょう。JPXプライム150インデックスファンドが広まるのは、コストをどれだけ抑えられるかで決まりそう。

比較的新しい指数として「JPX日経400」があります。結果としてTOPIXと同じような値動きになってしまったので、経費面でTOPIXファンドを選ぶ人が多数でした。

構成銘柄150の中から個別銘柄を選び投資する

収益性が高く、将来性を評価されている銘柄に投資をするなら「JPXプライム150」の中から選ぶのが効率的です。

キャピタルゲイン(値上がり益)を狙う個別銘柄投資をする場合に有効でしょう。一方、割安株・高配当株投資をしたい方には参考にならないかも知れません。

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